東成イービー東北

Technical Introduction
技術紹介

レーザとは

レーザとは、(Light:光、Amplification by:増幅、Stimulated:誘導、Emission of:放出、Radiation:放射)の頭文字をとってLASERと呼ばれています。和訳しますと「放射の誘導放出による光の増幅」という意味で、これはレーザの発振原理を表しています。
レーザは、日常さまざまな製品で利用されています。レーザプリンター、レーザメス、レーザポインター、CD・DVD・Blu-rayディスクの読込み/書込み、インターネットの光回線、バーコードリーダー、計測器及びセンサー関係など。
普通の光との違いは、例えば、懐中電灯を照らし場合、近くは明るいが遠く離れると徐々に明るさが弱くなります。これは、光が拡散しているからです。(光の波長と位相がバラバラ)これに対して、レーザの光は非常に直進性に優れています。そのため、光が拡がらず、光強度を保ちます。(光の波長と位相が揃っている)代表的なものとして、レーザポインターを挙げますと、遠くのものを指しても十分視認できるくらいの明るさを持ちます。(図1参照)

レーザ洗浄原理イメージ

レーザ洗浄原理イメージ

レーザ溶接とは

レーザ溶接は、材料表面で光が熱に変換され、熱エネルギーとなって材料内部に伝導して溶融されます。(図2参照)非接触で溶接できるため、狭小部分の溶接や動いている溶接対象物への溶接も可能です。

  • 熱伝導型レーザ溶接(パワー密度で105W/cm2以下の場合)
    ⇒溶融の過程で、溶融池の形状があまり凹まず、深さより幅が広い溶接ビード形状になる特徴があります。
  • 深溶け込み型レーザ溶接(パワー密度で105W/cm2以上の場合)
    ⇒溶融池で蒸発が始まり、その反力で凹みが生じ、表面で金属蒸発が発生してキーホールを形成することにより、材料内部の奥深くに届くようになります。(図3参照)

レーザ洗浄原理イメージ

レーザ洗浄原理イメージ

※参考:日本溶接協会

レーザの特徴

レーザはいろいろな加工が可能です。

加工内容

・除去加工:切断、穴あけ、剥離、溝加工など。
・溶接加工:熱伝導溶接、キーホール溶接など。
・表面改質:焼入れ、クラッディングなど。

対応可能材料

金属、半導体、樹脂、セラミックス、生物、植物など。
※ ただし、1台のレーザ発振器ですべてのことはできません。1台の発振器から照射できる条件は限られた範囲になります。したがって、目的に合わせたレーザの種類・仕様を慎重に選定する必要があります。

レーザの種類(名称)

レーザの名称はさまざまで統一性はありません。一般的には、レーザ媒質を指すことが多いですが、最近では、その特徴を表す形状やパルス幅を名称に用いることがあります。

形状

⇒ディスクレーザ、ファイバーレーザ

パルス幅

⇒ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ、ナノ秒レーザ

レーザ媒質

⇒ガスレーザ:CO2レーザ、エキシマレーザ(KrF・ArF)
⇒固体レーザ:YAGレーザ、YVO4レーザ、半導体レーザ
⇒液体レーザ:色素レーザ

レーザの種類(波長)

レーザは波長により種類が分かれます。波長により材料の反射率(吸収率)が異なります。(図4参照)

レーザ洗浄原理イメージ

レーザ加工でできること

剥離

①紫外領域のレーザでアブレーション加工を行います。(エキシマレーザ)
②赤外領域であっても短パルスでピークパワーの高い加工で蒸発させることで加工を行います。
(TEA-CO2レーザ、ナノ秒レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ)

穴あけ

レーザ照射時の急激な昇温による材料表面での溶融蒸発⇒噴出ガスの衝突による飛散除去。
(材料、レーザによっては、アシストガス無しでも可能)

切断

①溶融切断:酸化切断と無酸化切断。使用するガスは、酸素(活性)、アルゴン、窒素(不活性)
②蒸発切断:非金属の場合に多い。
③割断:ガラス等の脆性材料。(クラックを利用)

焼入れ

鋼材表面をオーステナイト領域まで急速加熱し、レーザ光通過時の材料内部への自己冷却により、マルテンサイトを形成します。

クラッディング

レーザ集光部に金属粉末を供給し、母材に肉盛りする技術です。
必要な箇所のみ硬くしたり耐摩耗性を上げることができます。

当社保有設備の詳細

  • YAGレーザ
    ⇒レーザ波長は1,064nmの固体レーザで、パルス発振、ファイバー伝送が可能。

    ⇒YAGレーザのメリットは、低い励起入力で効率が良いレーザ発振の構造で、伝送ファイバーが可能なため、自由度が高いシステムが可能です。(ミラー調整、光軸調整を低減)特殊な素子で波長変換も可能です。

    ⇒高ピーク出力発振のできるYAGレーザでは、熱影響の少ない高アスペクトな穴加工(穴径に対して深い加工)が可能です。高ピーク出力なため、金属材料への吸収も良く、ダレの少ない穴加工も可能です。
  • ファイバーレーザ
    ⇒レーザ波長は1,080nm。細いファイバー内に光を閉じ込めるため、光軸のズレが少なく、高ビーム品質(安定・高信頼)を維持できます。また、エネルギー変換効率が良く、従来のYAGレーザよりチラーを小型化できます。コンパクト、省スペース、メンテナンスフリーが特徴です。

                          ※参考:IPG資料より

  • ピコ秒レーザ
    ⇒ピコ秒とは単位を表します。その長さは10-12秒で、瞬間的に膨大なピークパワーを照射する加工方法になります。(超短パルスレーザ加工)瞬間的にレーザを照射するので、熱に変換される前にレーザ照射がストップするため、非熱加工(熱影響(Heat Affected Zone:HAZ)の無い加工)が可能になります。切断・穴あけ加工などでは、バリの立たない、切断面がシャープできれいな加工が可能なため、微細加工に向いている特長があります。(図6参照)

電子ビームとレーザの比較

項目電子ビームレーザ
エネルギー源 電子 光(人工的な光)
溶け込み アスペクト大 EBよりは劣る
加工材料 電気を通すもの(金属) 波長により相性はあるがほとんどのものが可能
金属への吸収 ほぼ99%は吸収 材料と波長の組合せ
反射率変化
加工雰囲気 真空中 大気圧で可能
水中でも可
ワーク制限 真空室(チャンバ)に入らないと加工不可 ステージにより制限
加工範囲 ほとんど溶接、焼き入れも可 溶接・焼き入れ・切断・穴あけ・表面加工・内部加工

レーザ加工のメリット
(YAG、ファイバーレーザ)

  • レーザ光に指向性があるため、安定性の高い加工が可能です。
  • 機械制御された溶接で、高信頼性の繰り返し生産が可能です。
  • 大気中での加工により、製品サイズの自由度が比較的高いです。
  • 磁性のある材料でも加工が可能です。

ピコ秒レーザ加工のメリット
(ピコ秒レーザ)

  • バリ、熱ダレが少なく、エッジがシャープできれいな微細加工が可能です。
  • 数十μm単位の微細加工が可能です。
  • 反射率の高い材料や、レーザ光を透過してしまう材料でも加工可能です。

レーザ加工のデメリット
(YAG、ファイバーレーザ)

  • 反射率の高い材料(アルミ、銅など)や、レーザ光を透過する材料(樹脂系、ガラス系など)は、加工できないものがあります。
  • 活性金属の加工が難しい。
  • バリ、溶接焼け、ドロスなどが発生する可能性があります。
  • 穴あけ加工では、レーザ光の入射角度により、テーパが付いてしまいます。

ピコ秒レーザ加工のデメリット
(ピコ秒レーザ)

  • 板厚の厚い材料や溝の深い加工は、他のレーザ加工と比較して、時間とコストが掛かります。
  • 導入設備が高額であるため、加工単価が高くなってしまいます。(加工精度を必要とする製品向け)
  • 微細加工であるため、要求精度により最適な加工条件出しを初回に行う必要があります。
    ※弊社では、さまざまな材料での加工実績がありますので、ある程度加工条件を絞って条件出しを行うことが可能です。

レーザ加工実績
(YAG、ファイバーレーザ)

  • 製品
    圧力センサー、電池ケース、医療機器、パイプ、シリンダ、フィルタ、真空部品、攪拌機、腕時計ケース 他
  • 材質
    ステンレス、鉄
  • 産業分野
    半導体、航空・宇宙、自動車、医療、工作機械、発電、産学官 他

ピコ秒レーザ加工実績
(ピコ秒レーザ)

  • 製品
    医療機器、太陽光パネル、ウエハ、金型、歯車、プリント基板、チューブ、有機EL 他
  • 材質
    ステンレス、鉄、チタン、銀、アルミ、銅、ニッケル合金、ハステロイ、ポリイミド、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタラート、テフロン、ポリ乳酸、ガラス類、繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック、セラミックス、積層材、アルマイト 他
  • 産業分野
    半導体、航空・宇宙、自動車、医療、工作機械、発電、産学官 他

お問合せ

  • お問合わせ先:東成イービー東北㈱ TEL:024(963)2411 FAX:024(963)0455
  • レーザ加工でお困りの方は、まずは弊社までお気軽にお問合わせ下さい!
  • 加工までの流れ:図面確認(スケッチでも可)⇒レーザ加工可否検討⇒見積書作成⇒ご注文

参考文献